人はなぜ絵を描くのか


直観像記憶を詳しく知るために、「人はなぜ絵をかくのか」芸術認知科学への招待(著者 齋藤亜矢)を読みました。

著書はチンパンジーと人との違いや、幼児が絵を描く例から、ないモノをイメージする力として分析しています。



興味深かった所は、

@ヒトは、言語を獲得したことによって、複雑で効率的な思考やコミュニケーション能力や想像力を手に入れた。しかし、モノをありのまま写真のように知覚し、記憶する能力を失った。(心理学者ニコラス・ハンフリー「喪失と獲得」から)
先史時代の洞窟壁画は、世界を直観像的に見ていた写実的な絵。その後、ヒトは言語を得たことから直観像的な記憶を失った。

Aチンパンジーは、「アイのホームページ」の研究映像から、写真のように映像で記憶(直観像記憶や映像記憶)と呼ばれる能力をもつ。

Cチンパンジーが将来を考えて絶望しないのは、今「ない」ものを見るよりは、今「ある」ものの重みをしっかりみるから。

B自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群、映画レインマンのサバン症候群の人は、卓越した記憶力を持つ

D鏡文字は、左右を示す言葉がなく絵の鏡像を区別していないため

E頭足人(おたまじゃくし人間)は、言語や概念が未発達なため記号的に描くため

F多視点描画は、特徴を記号的に説明していて、見たモノを描くのではなく知っているものを描いているため

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